随想録5 / リスク許容度を推し量るには?
※最初に、一切の正解がない問題を出します。
お時間があれば、あなた自身の回答を是非考えてみてください。
Q1、最初に問題を出します。あなたは以下の中から、
1回の投資で幾らまでなら「開き直って、素早く損切り出来ますか?」
A.1000円までなら素早く損切りが出来る
B.1万円までなら素早く損切りが出来る
C.10万円までなら素早く損切りが出来る
D.100万円までなら素早く損切りが出来る
4つの選択肢があった場合、どうでしょうか?
・・・・・
Q2、次の問題を出します。あなたはQ1の中から回答を出しました。
Q1の回答では1回の投資に対する損切りでした。
では、連敗時はどうでしょう?連敗することも確率上起こり得ます。
例えば、10連続で損切りした場合、
その合計損失額に対して、一切の感情を出さずに居られますか?
A.1万円(1回1000円の損失)
B.10万円(1回1万円の損失)
C.100万円(1回10万円の損失)
D.1000万円(1回100万円の損失)
いかがでしょうか?
・・・・・
投資を始める場合、絶対に理解して感情も納得させておかないとならない要素がある。
それは自分の「リスク許容度」への理解です。
「リスクを何処まで許容することが出来ますか?」
投資は必ず利益に繋がるわけではなく、損失計上する場面は嫌でも発生します。
その許容範囲を理解することは、投資で勝つことを考える上で大事になります。
今回は触れませんが、「ポジションサイジング」といって、
自分の投資資金量に見合った、適切な取引数量で取引をする考え方があります。
仮に100万円の投資資金とする場合、
「1回の損失で幾ら失っても問題がない資金量なのか?」。
そのポジションサイズを"一番最初に考えて損失額を事前に決めておく"ことが肝心。
大きく負けない投資に繋がりますし、本当に勝っている人は実践していると思う。
一般には1~2%が適切と言われるが、実際にはリスク許容度とは人それぞれ異なる。
優れた許容度を持ち合わせている人であれば、リスク%も高くなる傾向があります。
その方がリターンも大きくなりますしね。
では、仮に投資資金100万とした場合、リスク2%は1回2万円ですが、
当人が"1回目"2万円の損失リスクを許容できない場合はどうでしょうか?
今回話したいのはこの部分でして、先に答えを言うと、
「2万円の損失が許容できないなら、取引数量は減らさないとならない」。
取引数量を減らして、全体のリスク%を引き下げないとなりません。
その理由ですが、
「損切りを恐れて出来なくなる」
「損切りすることに納得できないから、無限ナンピンに手を出してしまう」
「次第に自暴自棄になり、ルールも関係ない愚かなトレードに走る」
このような連鎖が発生しやすくなり、最後は投資資金を失う羽目に繋がります。
損切りに一切の抵抗感を示さずに切ることが出来なければ、
長期継続して勝ち続けることは不可能だと思っています。
これは何回やっても同じ結果になりやすく、負の再現性が発生しやすいから、
本当に勝ち続けている人は少なくて、現実負けている人が多いのだと感じている。
「損切りが出来ないとダメなんだ」と口で言うのは簡単だし、
そんなことは私が言うまでもなく、既にご理解されていると思うんですが、
一番最初に克服すべきこと、その難易度が高さ、壁となるのが、
まさにこの部分「損切り、損失許容」に対してなんですよね。
一番最初はリスク1%でも良くて、
「少しずつリアルマネーを運用で増減させていくことに自分を慣らしていく」ことが、
大事になると私は考えています。
その上で、トータルで利益を計上することは後で考えるべき話であって、
一番最初は「ルールを貫徹する」ことが求められます。
別に負けることが悪いのではありません。
だって投資をする場合、まず負けることも大前提にありますから。
私は「ルールを破ること」、「感情的になる」のがダメだと言っています。
「損切りは絶対する」を徹底しないとなりません。
上記の問題は、リスクに対する認識を自覚してもらうために用意しました。
ある意味当然ですが、損失額が大きくなればなるほど躊躇します。
文字通り、身体が動かなくなるほどにです。
恐怖心でいっぱいになり、冷静な判断力が失われ、非合理的な行動に走りやすくなる。
結果、今すぐ損切りしなくてはダメな局面なのに、
損切りを恐れて逆指値を変更したり、逆指値を一度も設定しなかったりする。
損切りに迷いが生じてしまい、余計なことを考えてしまい、その判断が遅れるのです。
そして遅れた時、すでに致命的なダメージを負っている可能性が高いですよ。
大事な考え方として、
まず適切に損切りをするためには、「感情が納得している」ことが条件であります。
それは損切りをすることに、「一切の」抵抗感を示さない。
別にその金額を失っても痛くもないと開き直ることができることが条件です。
式に表すなら「恐怖 < 開き直り素早く損切り出来る金額」となります。
損失額とは、見方を変えると最終的にリターンを得るための「運転資金」ですが、
同時に損失額とは、「恐怖の度合い」を表すものともいえます。
その恐怖に打ち勝つことが出来るか?感情に納得できるか?
一番最初に考えるべきことであって、またそれを踏まえて、
投資での資金管理をどうしていく必要があるのか?、実際に運用に適用することが、
大変重要であり「長期で負けない」ための考え方へと至るのです。
ですから、自分の力をお金を稼ぐといったビジネス経験が一切ない、
お金の運用自体に慣れていないのにも関わらず、
短期で億万長者を目指すというのは、中々非現実的な意見となります。
夢を破壊してしまうかも知れないのですが、あくまで現実的な意見として。
その難易度は凄まじく高いです。
月間でトレードで勝てるようになったとしても、必ず壁になる話だからです。
勝てるようになったとしても、
どれだけ技術力が高かったとしても、
その方のレベル基準での損失許容度を、もしも身の丈以上に設定していた場合、
恐怖に負けて損切り出来なくなるし、最悪破綻に繋がるに至ってしまいます。
私は、現実そういう人を知っています。
リスク許容度 = 「お金の器」とも言います。
短期で大金を獲得し続けていくのは非常に難しいが、
長期で自身の「お金の器」を地道に育てていくことに集中出来るのであれば、
時給単価が上がっていき、それが副業レベルの収入、
本業以上の収入を得るチャンスは十分にあると思っています。
「トレードで大金を稼げる」とは事実でしょう。
ですが決して夢のあるでもなく、むしろ大変泥臭いものだと私は感じています。
そのプロセスが難しく、感情がまた足枷となってしまう。
良い意味で「もう、どうでもいいね」と開き直りの境地に至ることが出来れば、
皮肉ですが、それがターニングポイントになり、負け難くなると実感している。